「葬祭ディレクターの独り言」は葬儀のあれこれを紹介します。

東日本大震災で「幽霊」について書くのはなんとなく不謹慎かな…等と思う部分もあるのですが、目撃談や不思議な出来事も多いようで、度々メディアでも取り上げられてきているんですね。

なかでも興味を持ったのが東北学院大学の女子大生が卒業論文で「震災霊」現象について取り上げたという記事でした。

彼女は幽霊の目撃談について宮城県石巻市で100人以上のタクシー運転手を対象に聞き取り調査を行ったそうです。

そのうち霊体験を聞き出せた運転手さんは7名いたそうです。

一つの霊体験は、50代男性が震災後の初夏…季節外れのコート姿の女性客を石巻駅近くで乗せたそうです。告げられた行先は震災で更地になった場所でだった そうで、運転手が聞き返すと、女性は「私は死んだのですか」と声を震わせ、振り向いたときには誰も座っていなかったそうです。

また、40代男性は、これまた夏に厚手のコートを着た若い男性客を乗せたそうで、行先を聞いても山の名前しか言わず、到着するともう姿は見えなかったと言います。
※上記二例はJキャストニュース参照

ただ、私が体験者の声の中で最も興味を持ったのは、津波で身内を亡くした運転手が話した『幽霊が出たとしてもまた乗せるよ』と言う言葉でした。

そうです…幽霊と言ってもほんの五年前には私達と同じように生活していた人達なんですよね。

よくある怪談話にある様に「呪われる」とか「憑りつかれる」とかって考えにくいですよね。それこそ亡くなった方の家族にとってみれば、幽霊としてでももう一度会って話したい事もあるんじゃないでしょうか。

少し話は変わりますが葬儀社として「御遺体とかって怖くないの？」と、聞かれることがあります。

お化け屋敷が大嫌いな私が言うのもなんですが、怖いと思った事は無いんですね。

父親が早くに亡くなった事もありますが、ご遺族にとっては亡くなった故人は大切な存在であり亡骸に触れても、話しかけても怖いとは思いませんよね？

そんな感覚で「この人は誰かにとって大切な人である…」と考えるとご遺体の見え方は違ってくるんではないでしょうか。

『幽霊が出たとしてもまた乗せるよ』…と話した運転手さんもちょっと違う部分もあるのかもしれませんが、私と同じような気持ちも少なからず持っているのではないかと…勝手に考えてます。

改めて震災で亡くなられた方々の御冥福をお祈りいたします。